Posted on: 2022年3月21日 Posted by: 事務局 Comments: 0

対ロ制裁がサハ共和国のIT事業に及ぼす「脅威と機会」について

 ウクライナでの軍事行動のために、ロシア連邦政府は、西側がロシア経済に科した制裁に対応し、国内のIT事業の緊急経済支援策を発表した。支援策はIT会社の減税、低金利ローン提供から、徴兵延期までの優遇措置を含む。

 様々なユーザプログラムとプロフェショナルプログラムの開発に携わるMicrosoft、 Autodesk、 Oracle、 Adobe、 Cisco、 EPAM等の世界最大手のIT企業やマイクロプロセッサその他コンピュータ・ネット設備メーカーが、ロシア市場からの撤退を決めたため、ロシア国内のIT市場には大きな空白ができた。

 世界最大手のIT企業のロシア市場の撤退が、サハ共和国のIT事業に与える「脅威と機会」について、サハ共和国の典型的なIT事業者のボリス ミハイロフ氏とヴァシーリー  アンモソフ氏に聞いてみた。

 ボリス ミハイロフ氏(上写真右側)は、OOO「新技術センター」代表。彼の会社は、サハ共和国のビジネスインキュベータから「巣立ち」した後、既に7年間、サハのIT業界で活動している。事業内容は、車両用カーナビ、タコグラフ(運行記録用計器)、盗難防止装置の設定とメンテナンスだ。この電子機器で使用しているソフトは、ほぼ外国製だ。ミハイロフ氏は、西側のIT企業のロシア市場の撤退のプラス面とマイナス面について、以下の通り語った。

サハ共和国のIT市場の見通しを楽観視するミハイロフ氏

「現在、ロシアの市場では外国製ソフトの類似品が多いが、機能性では西側に適わない。ロシアのソフト製造業者が自社製品を改善し、事業を拡大して、市場シェアを獲得するユニークなチャンスはあると思う。但し、それを狙っている国内IT企業に対する、政府のしっかりした支援策が不可欠だ」

また、サハ共和国の文化施設のPOSと入場券のネット販売を行なう「テッセルス」社のヴァシーリー アンモソフ元代表は、コロナ禍での自粛・制限がもたらした、劇場・博物館の来場者数の激減により、事業が低迷し、会社を整理せざるを得なくなった。

しかし、アンモソフ氏は、IT事業を続けると決心し、これからは輸入品の代替品開発に力を入れることを考えている。

IT事業の新規分野に挑むアンモソフ氏

「西側のIT企業の撤退によりできた空白を、国産の代替品で埋めることは可能だと思う。しかし、ロシア国内の市場規模は限られているため、企業成長のためには、海外市場への進出が必要だ。また、事業拡大のために多額の資金も調達しなければならない。現在の対ロ制裁のため、ロシアのIT企業の海外進出は不可能となり、投資環境も著しく悪化した。このままでは、企業の長期的な成長は考えられないだろう。21世紀に急激に発展したIT産業は、正にボーダレスになっており、ビジネスのために、国境の開放と海外市場へのアクセスが不可欠だ。それが出来ない企業は、成長も出来ず、結果的に破綻せざるを得なくなる。」とアンモソフ氏は語った。

【YAKUTIA.INFO】通信社3月16日

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